【片山さつき】「下から2番目じゃない、上から2番目です」財務大臣がその場で認めた…最悪と言われてきた日本の財政は、順位が真逆だった【江田憲司/財務省/国会中継】

Kanemoto Noa
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2026年08月12日
【片山さつき】「下から2番目じゃない、上から2番目です」財務大臣がその場で認めた…最悪と言われてきた日本の財政は、順位が真逆だった【江田憲司/財務省/国会中継】.
2025年11月21日(令和7年11月21日)衆議院 財務金融委員会。当時・立憲民主党の江田憲司氏が、就任からおよそ1か月の片山さつき財務大臣に、国債と財政の見方を質しました。

争点は一つです。国債は子や孫への「ツケ回し」なのか、それとも「仕送り」なのか。

江田氏が突きつけたのは、自民党の一本部がまとめた提言でした。「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である。」「国債の償還は税金ではなく、借換債の発行により行われている。」――財務省が長く説明してきた「将来世代への負担の先送り」とは正反対の記述です。

片山大臣の答弁は、論点ごとにはっきり分かれました。

◆借換債について → 認めた
「六十年償還ルールが現行でございますので……その意味では委員のおっしゃるとおりでございます」

◆指標全体の評価について → 同意した
「私も全くその江田委員と同じような認識をしております」

◆「国債は孫子への貯蓄」か → 留保した
「政府にとっては、元金償還し、利払いの必要があるからそれは負債」「必ずしも、貯蓄的な面だから幾らでもいいという考えを私が持っているわけではない」

◆「日銀保有国債は事実上政府の借金ではない」か → 明確に否定した
「その部分を差し引くというような形で比べるという考え方は、私ども財務省は取っていないんですけれども」

※つまり「財務大臣がすべてを認めた」わけではありません。認めた部分と、譲らなかった部分がはっきり分かれた質疑です。本編はその両方をそのまま収録しています。

最後に片山大臣は、財務省が公表を始めたデータとして「単年度の財政収支、これの名目GDPの比率が、今は、G7で比較すると日本は上から二番目なんですよ。下から二番目じゃなくて上から二番目ですから」と述べました。IMFのFiscal Monitor(2025年10月版)でも2025年の日本の一般政府財政収支はマイナス1.3%で、G7で最も良い水準です。大臣の「上から二番目」は、むしろ控えめな言い方でした。

【数字についての注記】
・江田氏の「経常収支は三十兆の黒字、世界一位」は、金額(2024年度30.3兆円で過去最大)は正確ですが、順位は正確ではありません。ドル建ての国際比較では2024年は中国・ドイツに次ぐ第3位です。
・「対外純資産は世界一、二位の五百三十三兆」は2024年末の値です。この年ドイツに抜かれ34年ぶりに首位から陥落しており、直近の2025年末は561.7兆円で世界3位です。
・「債務残高対GDP比236.7%」は質疑当時の数字です。その後のGDP統計の基準改定を受け、IMFの2026年4月版では2024年が214.5%に下方修正されています。
・個人金融資産2,239兆円(日銀「資金循環統計」2025年6月末)と潜在成長率0.6%(内閣府)は正確です。

【この質疑から8か月】
質問した江田憲司氏は2026年2月の衆議院選挙で議席を失い、同年5月に政界からの引退を表明しました。答弁した片山さつき氏は、第2次高市内閣でも財務大臣を務めています。

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【用語の解説】

★財政政策検討本部の提言
自由民主党政務調査会「財政政策検討本部」(本部長・西田昌司参議院議員)が令和6年6月6日にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2024」に向けた提言。「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である。」「国債の償還は税金ではなく、借換債の発行により行われている。」などと記し、歳出抑制に偏った姿勢について財務省に猛省を求めている。※党の政務調査会の一本部による提言であり、党議決定や政府方針ではない。

★「仕送り」論
江田氏の主張。100万円の国債を買って子が相続すれば、満期にその100万円は子に戻る。国から見れば負債だが、国民の側から見れば資産なので、国内で完結する限り差引きはゼロだという整理。ただし江田氏自身が「外国人が保有する分は国外に流出するのでツケ回しと言ってもいい」と例外を認めており、また「純負債があるから財政再建もせにゃいかぬ」とも述べている。

★国のバランスシート
財務省が公表する「国の財務書類」(令和6年度)では、資産合計783.4兆円に対し負債合計1,483.3兆円で、資産・負債の差額はマイナス699.9兆円。江田氏が言う「1300兆の借金と600〜700兆の資産」は、国・地方の長期債務残高(約1,330兆円)と国の財務書類という別の会計基準を並べたもので、厳密には土俵が異なる。

★借換債(かりかえさい)
満期を迎えた国債の償還財源にあてるため新規に発行される国債。片山大臣はこの日「六十年償還ルールが現行でございますので……その意味では委員のおっしゃるとおりでございます」と、償還の大部分を借換債で回していることを認めた。ただし一般会計から国債整理基金特別会計へ残高の1.6%(およそ60分の1)を繰り入れる仕組みもあるため、「償還に税金は一切使っていない」とまでは言えない。

★60年償還ルール
建設国債で作った資産の平均的な効用発揮期間を60年とみなし、国債残高を60年かけて償還する日本独特の慣行。毎年度、前年度期首残高の1.6%を一般会計から国債整理基金特別会計へ定率繰入し、満期到来分のうち現金償還されない部分は借換債で借り換える。主要国にはこの仕組みがないため、見直し論も長く議論されている。

★日銀が持つ国債
日本銀行は保有国債から利息を受け取るが、その剰余金は日本銀行法に基づき国庫に納付される。自民党の提言はここから「日銀保有の国債は事実上政府の借金ではない」と踏み込んだ。これに対し片山大臣は「その部分を差し引くというような形で比べるという考え方は、私ども財務省は取っていない」と明確に否定している。※この論点は、大臣が同意しなかった数少ない部分。

★対外純資産
日本の対外純資産は2024年末で533兆円。ただしこの年、ドイツに抜かれて34年ぶりに首位から陥落し、当時すでに世界2位だった。直近の2025年末は561.7兆円に増えたものの、ドイツ・中国に次ぐ世界3位となっている。江田氏の発言も「世界一、二位の」という言い方で、一位とは断定していない。

★経常収支
2024年度の日本の経常収支は30.3兆円の黒字で過去最大。ただしドル建ての国際比較では、2024年は中国が約4,239億ドル、ドイツが約2,640億ドル、日本は約1,943億ドルで第3位。江田氏はこの日「世界一位」と述べたが、額の比較では正確ではない。

★CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)
国や企業が債務不履行に陥ったときに損失を補填する金融商品で、その保険料率は市場が見るリスクの目安になる。日本国債のCDSは低水準で推移しているとされ、自民党提言の参考資料でも「G7で2番目に健全」との指摘が引用されている。※具体的な料率は市場データのため、本動画では江田氏の発言としてそのまま紹介している。

★黒田財務官の意見書(2002年)
2002年4月30日、日本国債の格下げを続ける米欧の格付会社3社に対し、財務省(黒田東彦財務官名)が送った意見書。日・米など先進国の自国通貨建て国債の債務不履行は考えられないとしたうえで、日本が世界最大の経常黒字国・債権国であり外貨準備も世界最大であることを挙げ、格下げの根拠を示すよう求めた。財務省のウェブサイトで現在も公開されている。江田氏がこの日引用したのはこの文書である。

★単年度の財政収支 対GDP比
その年度の財政収支(歳入と歳出の差)を名目GDPで割った比率。IMFのFiscal Monitor(2025年10月版)では2025年の日本はマイナス1.3%でG7の中で最も良く、カナダ、ドイツ、イタリア、英国、フランス、米国がこれに続く。片山大臣が述べた「上から2番目」はむしろ控えめな表現だった。

★債務残高 対GDP比
政府債務の残高を名目GDPで割った値。江田氏がこの日挙げた236.7%は当時の数字で、IMFの2025年10月版でも2024年は236.1%だった。ただし2025年12月のGDP統計の基準改定を受け、IMFの2026年4月版では2024年が214.5%に大きく下方修正されている。

★ドーマー条件
名目成長率が名目利子率を上回っていれば、政府債務の対GDP比は発散せず収束に向かうという財政の持続可能性に関する条件。江田氏はこの条件を根拠に「借金は将来的には収束する方向だ」と述べた。ただし金利が成長率を上回れば逆に働くため、金利上昇局面では前提が崩れる点に注意が必要。

【タイムスタンプ】

00:00 今回のダイジェスト
00:22 「今 財政が破綻するなんて思っている投資家は一人もいない」財務省が見せない“もう片方”
01:38 財務省前のデモと「切り刻んだ鬼代官のように思われて」
03:01 「片山大臣は積極財政派ということでよろしいですか」
03:40 自民党の提言「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である」
04:26 江田「財務省は真逆のことを言っている」/大臣「政府にとっては負債」
05:58 100万円の国債と相続「だから仕送りだと言っているんですよ」
07:02 「バランスシートの片方だけ見て大変だ大変だというのは、改めさせていただきたい」
07:51 ★大臣が認めた「その意味では委員のおっしゃるとおりでございます」(借換債)
08:37 ★大臣が譲らなかった「私ども財務省は取っていない」(日銀保有国債)
09:39 債務残高対GDP比236.7%は守れるのか→「若干下がるのではないか」
10:46 「私も全くその江田委員と同じような認識をしております」
11:47 まとめ解説(カピバラ政論)

【引用】※ルールを遵守して制作しております

■衆議院インターネット審議中継:https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
■参議院インターネット審議中継:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

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